ロングパス

日本代表のサッカーは実は得点力が不足しているわけではない

「世界の強豪国に比べて日本代表は得点力がない」と解説者やアナウンサーが何度も発言をしていますが、実は世界の強豪国の得点力と比較しても大差はありません。2015年に行われたアジアカップにおいて、日本代表がゴールの枠内にシュートを打った割合は44パーセントほどであり、これはオーストラリアの50パーセント、イラクの48パーセントと比較しても、20本に1本のシュートが枠から外れたぐらいの違いです。

日本代表は得点力が不足していると言われて何十年も経過していますが、現代のサッカーでは攻撃の要であるFWにも守備力やパスが求められるようになってきており、世界全体を見てみても得点力不足の克服は課題となっています。

サッカーはバスケットボールなどとは異なりフィールドがとても広く、1回の攻撃や守備に時間がかかることから0−0や1−0などのロースコアで試合を終えることがよくあり、単純に得点力が低いから勝てないとは言い切れません。

枠内へシュートする確率が同じならば、何が得点力の差をつけているのかというと、それはシュートを打った数です。確率が同じならば母数であるシュートの本数を増やせば良く、日本と世界との差はこの点にあります。
ここで注意してほしいのは、ただシュートを多く打てば良いというわけではないということです。枠内を捉えたシュートを増やすには、シュートするまでのプロセスを組み立てていかなければなりません。ボールをキープする時間を増やし、ペナルティエリアなどゴールの近くまでボールを持っていく技術、DFの隙間を狙ってシュートを打つ精密さなどが求められます。

日本の場合は、少年時代から失敗してはならないということを強く教えられるため、ボールを取られるリスクがあるペナルティエリアなどゴールの近くまでボールを持っていく技術が特に不足しており、これが得点力の不足を生み出しています。

しかし、ワールドカップの優勝国であるイタリア代表でも、得点力不足と言われていることがあるぐらいです。サッカー王国ブラジルも、ネイマールが登場するまでの間、数年間はFW不足、決定力があるFW必要だと言われていました。
日本は常に決定力がないことは事実ですが、決定力が常にある国というのはありません。